【2021年度版】地方中小運送企業が考える事べき事4選
こちらの記事では、運送業界で働く人たち・今後働いていこうと検討している人向けに、
・運送業界で働くことを検討している人が、これから直面する可能性である課題を把握する事ができる
・運送業界で働いている人が未来を考えるきっかけになる
こちらの2点がわかる内容になっています。
■目次
①日本の物流の現状
②国土交通省・厚生労働省の動き
③地方中小運送企業が考えるべき事4選
④最後に
①日本の物流の現状
日本の物流は世界規模で見た時、高水準であると評価を受けています。
レベルの高い物流の実現については今までは日本人が得意とする組織力を使った緻密な作業を、
人数をかけて行う事で「時間帯指定」「本日出荷したら翌朝届く」等の高いサービスを実現してきました。
しかし高水準の物流を支えてきた「人」不足が深刻化してきています。
鉄道貨物協会(鉄貨協)は以前、トラックドライバー需給の将来予測として、2028年度にはドライバーが27万8072人不足すると試算しています。
そもそも日本の労働人口の減少がある中で、日本の物流はどうなっていくのでしょうか?
②国土交通省・厚生労働省の動き
国土交通省では高水準の物流を維持・向上させるために「物流総合効率化法」として取り組みを行っています。
要するに、「効率的に物流網を構築することで、うまい事やっていきましょう」という施策に注力していきたいという事です。
また厚生労働省とも連携して、トラックドライバーの労働時間に関する規制を2024年から実施して、
「労働環境よくするから、トラックドライバーみんなやってみようよ!」という流れを生みそうとしています。
我々中小運送企業はどんなことを考えていくべきなのでしょうか?国土交通省の施策を解説しつつ、考えるべき事4選をご紹介します。
③地方中小運送企業が考える事べき4選
・物流の2024年問題に向けた働き方改革
2024年4月1日以降、「自動車運転の業務」に対し、年間の時間外労働時間の上限が制限されることになりました。
今回の働き方改革関連法では、以下3つをポイントとしています。
- 年次有給休暇の時季指定
- 時間外労働の上限制限
- 同一労働同一賃金
以上の対応が執行されることで、トラックドライバーの働く環境改善が進んでいくとみられています。
しかし、経営基盤の脆弱な中小運送会社では、ドライバーの労働時間を制限されることで売上低下は避けられず、
給与水準の低下等の課題にも直面する可能性があります。
当社では、運送だけでなく倉庫・人材・製造等他業種にグループ展開しており、
労働時間を守りつつも収入を落とさない対策を現在推進しています。
運送業1本で事業経営している企業は、リスクヘッジの対策が必要になってきます。
・輸送網の集約が始まるため、顧客企業の動向を確認・対応できるようにしておく
今までは倉庫・工場・配送センターが非効率で、倉庫から工場・工場から配送センターといった分散された輸送網で成り立っていました。
今後は、輸送連携型倉庫(要するに全部一緒になった倉庫)に集約し、効率的な輸送を実現しようとしています。
こういった動きに対し、国土交通省は事業立上補助金・許可なしで運用できる・税制特例等の支援を行っていくと発表しています。
倉庫・工場・配送センターをばらばらに持っている顧客企業の動向はしっかり確認をして対処していく必要があります。
・輸配送の共同化が始まるため、1つの顧客に依存しない体制を築いていく必要がある
輸配送の共同化というのは、異なる倉庫・工場・企業であっても一つの倉庫に荷物を集約し、
1台当たりのトラックにいっぱい荷物を載せて運行しようという流れの事をいいます。
2020年7月には大手コンビニ(セブンイレブン・ファミリーマート・ローソン)で、
共同配送の実証実験が実施されています。
その他にも大手飲料メーカーと食品メーカー・物流企業で共同輸送が開始しており、
今まではそれぞれの企業が自分たちで物流網を構築してきていましたが、これからは企業間を越えた物流網の構築を推奨していく流れがあります。
地方中小運送企業としては、こういった流れがある事を理解して、ある程度は1つの顧客に依存しない体制を築いていく必要があります。
・モーダルシフトを理解し、長距離輸送の未来を把握しておく必要がある
モーダルシフトとは何か?
要するに「鉄道とか船とか飛行機を使って大量輸送を実現しましょう」という意味です。
日本では高速道路がある程度整備されているという背景があり、
トラックによる長距離輸送が一般的になっていました。
モーダルシフトを実施する企業に対し、国土交通省は税制特例(要するに税金安くします)を施行し、
日本のトラック依存型輸送から輸送経路を分散する事で省力化を実現したい考え方を持っています。
地方中小運送企業としては、今任されている輸送ルートが鉄道・船・飛行機を使用する事が現実的であるか考え、
現実的であるなら、実際に導入されたとき対応できるような拠点展開を検討する必要があります。
③最後に
いかがだったでしょうか?
今まで労働集約型産業として「人」で支えてきた運送業界ですが、
大きな変革を求められています。
こういう時代でも残る企業は、どこまで行っても「人」を大切にし、
「人」と共に成長をしていく企業であると思います。
厳しい環境に嘆くだけでなく、運送業界の変革に立ち会ったと切り替えて、
世の中の流れを見ながら対応をしていける企業こそが「無くてはならない企業」と言えると思います。
当社でも上記4選についてはすでに対策を考えており、
労働環境の改善・安全衛生の維持・顧客動向に応じた対応を随時実施して参ります。